1-1「石窯」って何ですか?
 石窯とは広い意味で石でできたオーブンのことです。直火で焼くのではなく、輻射熱や遠赤外線、そして余熱を利用して調理をする道具です。
1-2「石窯」の形と大きさ」はどんなのがあるのですか?     
 石窯の形はおおむね4つに分類されます。
石窯のタイプ イメージ図 特  徴   
 1.ドーム型 構造的には最も強度があり、壊れにくい。炎が天井をスムーズになめ焼き床面を均一に温めます。
 2.カマボコ型 構造的には最も強度があり、壊れにくい。炎が天井をスムーズになめ焼き床面を均一に温めます。   
 3.箱型 単純な形で作り方は簡単に見えますが、天井部の材料は長尺、大板のものを使わざるを得ない。炎の流れは乱れ、不均一になりがちですがある一定以上の温度になれば安定します。
 4.家型  2,3の合体型といえる。屋根部は箱型と違い、長尺、大板を使わなくてもレンガ等のせり出し手法を用いれば作ることが出来る。炎の流れは屋根に添って流れるため焼き床への輻射熱は強い。

石窯の大きさは、特に決まってはおりませんが、主な利用目的によって自づと決まります。いたずらに大きければ、立ち上げに時間がかかり、その分燃料代もかさみます。逆に小さすぎても不便な場合があります。

ピザが焼ける時間は1分半程度なので石窯内に何枚も入れる必要はありません。本格ピザ店でも石窯に入れるのは2枚程度です。但し、ピザ生地によって焼き床の温度が下がってしまうので場所を変えながら焼いているようです。石窯の大きさはピザが一度に何枚入るかよりも、焼くローテーションによってより安定した温度を確保できるかどうかで決まります。

将来、石窯をと考えている方は、下記に示した利用目的別の大きさを参考にしてください。 

主な利用目的 石窯の大きさ(幅or直径)
 1.小家族向け(4人程度)  (0.5~0.6m)
 2.数組の家族向け(10人程度)  (0.6~0.7m)
 3.別荘での家族+仲間(12人程度)  (0.7m)
 4.営業用、公共用(本格ピザ店、公共利用)  (1.5~2.0m)
 5.営業用(軽食店用)  (0.5~0.6m)
 6.営業用(移動販売用)  (0.5~0.7)
1-3石窯はどんな材料でできているのですか?
 火に強く蓄熱性のあるものなら何でも利用できます。又、均一材料でなくても、様々な材料を組み合わせて作る事もできます。下記に構造材として主に使われているを示しました。又、表面は熱による影響が少ないので、多様なデザインが可能なのも楽しみの一つです。
材  質 石窯の大きさ(幅又は直径)
 1. 自然石 *栃木県の大谷石(昔は塀や門柱、かまどによく使われていた)*千葉県の房州石(江戸時代はかまどによく使われていた) *東京都神津島の坑火石(サウナ風呂の壁面材として使用。) *山梨県、静岡県、鹿児島県の溶岩(焼肉プレートや敷石に使用)
 2. コンクリート *耐火コンクリートにするために、内部に気泡を作り、熱による膨を吸収し崩壊を防いでいます。アルミ粉による発泡やパーライト等の超軽量骨材を使用しているのはそのためです。
 3. レンガ *耐火レンガ(耐火粘土とシャモットを原材料とし、高温で焼成したもの)溶鉱炉や焼却炉等の耐火物施設に使われています。伊豆韮山の反射炉の耐火レンガはオランダ製です。江戸時代にはまだ日本で作る技術がありませんでした。
*耐火断熱レンガ(耐火粘土と焼成後の空隙を作るための木粉を主な原材料として焼成したものです。
 4. 土 *粘性土(荒木田土)、砂、石灰、わらすさを水でよく混ぜ団子状にして型枠に張り付けて整形する。その後十分乾燥させれば使用できる。型枠の形を変えれば自由なデザインを楽しむ事ができるのが特徴です。

1-4「燃料」は何を使うのですか?
 原則は「薪」です。但し、着火時はまだ石窯が温まっていないので煙が多く発生し、近隣住民に迷惑がかかる場合があります。別荘等の自然の多い、広い所では問題はないのですが、住宅が建て込んだ場所では配慮しなければなりません。この場合は炭を使う事をおすすめします。炭は原則煙が出ませんので、石窯をある程度温めた後、小薪の併用が温度の立ち上がりもよく煙の被害も最小限に抑えられます。
 その他の燃料としては、「ガス」、「電気」がありますが、この二つは炎をとおともないませんのでピザ独特のスモーク臭がつきません。しかし、パンを焼くにはコントロールがしやすく便利なものと言えます。
1-5どんな料理ができるのですか?
家庭のオーブンで出来る料理は全てできます。家庭のオーブンはそれ程大きくないので、大物を焼く場合は断然石窯が有利です。
    ピザ*ニワトリ、豚の丸焼き*パエリア*鯛の塩釜*焼きカレー*石焼き芋*
    ジャガバター*焼き栗*焼きリンゴ*焼きとおもろこし*焼きネギ*焼き玉ねぎ
    そして、最後の余熱でパンが焼けます。
1-7「石窯作り」をイベントとしてできますか?
 いろいろな人達と力を合わせて、一つのものを作り上げることは、どんなものでもわくわくするはずです。一人では出来ない事でも多くの知恵と力が結集すれば出来る事は多いのです。特に石窯は単なるオブジェではなく、料理のための大きな道具ですので、作り上げた後の「食」の魅力が待っています。以下に実例をあげます。

① 「幼稚園、保育園」の卒園記念プレゼントとして我が子のために父母が作り上げるイベント
② 「街や村おこし」の一貫として地域おこし協力隊が主催し、地元住民及び近隣の街の有志を募り、公共のひろばにみんなで作り上げるイベント
③ 「OOの森を守る会」が主催し、森の維持.管理の過程で発生する間伐材や枝葉を燃料とした一石二鳥の石窯を、地元の子供たちのために会員が集まり石窯を作るイベント。
④ 「森林組合」が主催し、林業の大切さを理解してもらう一貫として食をともなう石窯作りを広域から参加者を募集して行うイベント。
⑤ 「公園・緑地を維持管理する自治体の担当部署」が主催し、公園や緑地の新たな魅力的な利用形態の実験的こころみとして行う。従来タブーとされてきた火の使用をともなう石窯を地域住民とともに作るイベント。都市公園内では原則火の使用を禁止している自治体は多いが、管理体制をしっかりし、火の使用特区を設ければ可能な施設といえる。ある自治体では常設ではなく、使用時に決められた場所に運び利用している所もあります。
1-8 「ずばり石窯の魅力」ってなんですか?
 石窯の魅力は温かく、熱い「火」を感じる喜びとともに、又食べる楽しみを味わえるものだからです。誰でも人は、あの多様な色と常に変化する炎の形に理屈ぬきで魅力を感じ、人智を超えたものとして畏敬の念をいだくものであります。
 直火そのものは、昭和30年代前半までは、風呂、かまど、焚き火等で身近に見られましたが、その後の新しい技術による生活改善がなされ、ガス、電気の普及により、直火を見る機会がほとんど無くなりました。生活は便利になり、合理化、省力化が進み、家事労働から解放されたことは確かです。しかし、現在のオール電化に象徴されるスマートな生活の中に何か冷たさがあり、ものたりなさを感じることは、全て否定できません。大事な忘れ物をした気になるのは必然と考えられます。今の豊かな生活の真逆の魅力として、人のDNAに擦り込まれた原始の感性を奮い起こすものの一つが「火」であり、それを利用する石窯を現代人は求め始めたのではないかと思われます。